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陶芸教室の先生生徒の作品展示会の会場に行く途中、またも方向オンチに陥りあたふたとした。 初めてのところに行く時は、きまってまず反対方向に歩きだす習性がある。 私の地ジクは歪んでいる。 商店街を行ったり来たりするうち、ショーウインドウになつかしいものを見つけた。 ドアを開けて確かめると、店主の方が、 「これは天童木工という会社の椅子で、60年代の復刻版です」といわれた。 『ヘロンロッキングチェア(レザー) - 菅沢光政』・168000円の値段がついていたと思う。 私が購入したのは、1972年だ。 当時たぶん7,8万くらいだったと思う。 徳島の家具屋さんで、一目で気に入り一点豪華主義で張り込んだ。 ネットとは便利なものだ。 私が買った家具屋さんは、PLAZA ALEX(プラザアレックス)というお店だったようだ。 椅子は、外枠の木目がきれいで蜜柑のような色の皮が張られていた。 やがて長男をあやすゆり椅子になり、天使の寝顔にみいったものだ。 次男は夢中で遊んでおでこを怪我し椅子によじ登ったかと思うとうたた寝を始めた。 娘はおしゃまでカメラポーズをとった。 雨の日など退屈すると、椅子はひっくり返され基地の一部になった。 居間に置かれ乱暴に扱われ、綺麗な蜜柑色はやがて傷が付き薄汚れていった。 極め付きは、癇癪を起した娘がかみつき裂傷をおってしまった。 末路は哀れで、大きくなった子どもたちが部屋を歩くとき邪魔になり片隅に置かれ物置と化した。 そうなると邪魔でしょうが無い。 大きなテーブルを買うとき、捨てることになった。 外枠の木の部分は丈夫で少しの狂いもない。 禿げた蜜柑色の表地を貼り替えれば再生できる道もあった。 インテリア雑誌で「あっ 同じ形だわ」と見つけた時はなつかしかった。 家族の歴史が染みついたものを捨ててしまい惜しかったなと思った。 もしかしてリサイクルセンターに運ばれ、化粧直しをして生まれ変わっている可能性もある。 ごめんなさい、そう思ってみやった。 目の前にすると、やはりすてきなラインだ。 この椅子に揺られ幸せな気分の頃を思い出す。 後年やっぱりこのタイプの一人椅子に執着し、赤い椅子を買った。 赤はだいすきだ。 元気の出る色だから。 台所でも、赤いまな板に…赤い籠、赤いヘラ、赤いパイ切り、赤いざる・・・ 億劫になるときに赤い色に励まされる。 |
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