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1895年巴里の地下サロンでシネマトグラフで投写された映像が、映画の誕生という。 戦前の映画は動く絵さえ見る機会がないが、展示されているポスターからまさに香り立つ時代の雰囲気に酔わされる。 館内に東和映画というヨーロッパの輸入映画の一部分が上映されていた。 女性の服装、仕草に興味をもってみた。 ヨーロッパの女性は薄いシフォンやゴースで襟元を飾り、大人もパフスリーブでしなやかで愛らしい。 思春期にみたのはアメリカ映画が多く、豪華絢爛なアメリカの社交界のシーンや女性のファッションに、アメリカ人は美男美女しかいないと思わされた。 大きくなってアメリカ人を見る機会に、あの銀幕にいた人たちとかけ離れ、きさくで開放的なところにギャップを感じたものだ。 フランス映画は難解だと母がいっていたが、町の映画館でヨーロッパ映画を見る機会はなかった。 たぶんキネマ旬報などの雑誌で、野口久光のシネマアートをみていたかもしれない。 なつかしさと憧れで、このポスター展は堪能した。 レタリングの文字体のあたたかさ、映画のシーンを思い描かせる的確なポスターに、タイムスリップをして楽しんだ。 手書き文字のおしゃれは、「黒いオルフェ」の「オ」がおどっている。 「二重の鍵」の「二」は鍵が二本並んでいる。 「女」の文字も主人公によってちがう。 主人公たちの強い瞳、見つめられたらとろけそうな女性のまなざし、くらくらしそうないい男。 みていて飽きない魅力があり、何度か会場をめぐってみたりした。 親しみを持ったのは、「赤い風船」 ・・・孤独な少年の夢と願い!フランスが誇る珠玉の芸術篇 ・・1956年カンヌ映画祭特別グランプリ受賞・・ アット、少年が風船をもったままそらへと運ばれるシーンをおもいださせる。 もうひとつは「旅情」だ。 水色の空にヴェネチアのラグーナとゴンドラ、キャサリーンヘップバーンの髪に白いクチナシが一輪。 1964年再上映版のポスターだそうだ。 原画も展示されてあり、レトロですてきだった。 圧巻は「大人は判ってくれない」だ。 黒いとっくりのセーターに顔を沈める少年。この視線・・思春期だ。 憧れの女優に若き日のポートレートを渡すシーンが掲げられていた。、 この時女優は92歳、野口さんは79歳。 幸せな瞬間を想像できる。 |
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